「養豚のイメージを変えたい」。みのる養豚がMICHIYUQと取り組む、広報から広がる養豚業界の未来


「豚は臭いし、きついし、休みもない」
養豚の仕事に対して、そんなイメージを持つ人は少なくないかもしれません。
しかし、実際の養豚の現場では、若い世代が働きやすい環境づくりや、新しい技術を取り入れた生産体制への取り組みが進んでいます。
一方で、そうした変化が社会に十分に知られていないという課題もあります。

今回お話を伺ったのは、青森県十和田市で養豚業を営む、みのる養豚の中野渡 大さん。

若い世代に養豚の仕事を知ってもらいたい。自社の取り組みをもっと多くの人に届けたい。そんな思いから始まった広報活動は、SNSでの情報発信やメディア取材、子どもたちに食の大切さを伝えるオンラインイベント「命を学ぼう!もぐもぐ探検隊」へと広がっています。

MICHIYUQに相談した背景や、一緒に取り組んできたこと、広報を通じて生まれた変化、そして養豚業界全体の未来に向けた思いについて、お話を伺いました。


「養豚のイメージが30〜40年前から変わっていない」。広報に力を入れようと思った理由

──まず、MICHIYUQに相談する前、どのような課題を感じていらっしゃいましたか。

中野渡さん:

養豚業界全体の立ち位置を考えたときに、世間が思い描く養豚の仕事のイメージが、30〜40年前からずっと止まっているような印象を受けていました。

若い子や友達に話を聞くと、「豚って臭いし、きついし、大変だし、休みもないんでしょ」と言われることがあるんです。

でも、実際にはそういうことばかりではありません。

最近は、若い世代が就職しやすい環境を目指して、スマートな養豚のあり方に取り組む動きもあります。私たちもそうした取り組みを進めています。

そういう今の養豚の姿を、もっと多くの人に知ってもらいたいと思っていました。


──情報発信に力を入れようと思った、具体的なきっかけはあったのでしょうか。

中野渡さん:

やはり、若い人が会社に入ってこないということですね。採用が難しくなっていると感じていました。

今は学生さんの方が会社を選ぶ時代でもあります。そうしたなかで、いかに若い人たちに興味を持ってもらうかを考えるようになりました。

知ってもらうためには、これまでと同じ取り組みだけでは難しい。ホームページをきちんと整えたり、こちらから情報を発信したりしていかなければ、特に今の若い世代には、そもそも見てもらう機会すらないのではないかと思ったんです。

まずは知ってもらうきっかけをつくるために、広報に力を入れようと考えました。

自社だけでは続けられない。外部のプロと取り組むことを決めた理由

──MICHIYUQと出会う前に、ご自身でSNSなどに取り組もうと考えたことはありましたか。

中野渡さん:

何度かトライしようとはしていました。

ただ、SNSは継続することが一番大事だと思っていたんです。自社だけで運用するとなると、人員的にもなかなか厳しい。最初だけ投稿して、その後は更新が止まって自然消滅してしまう。そんな未来が想像できていました。

一方で、外部にお願いすると、とんでもない金額がかかるのではないかという不安もありました。

どうしようかと悩んでいたタイミングでMICHIYUQさんと出会いました。


──MICHIYUQと初めて話したときの印象や、依頼の決め手を教えてください。

中野渡さん:

当時は広報という仕事自体にあまりなじみがなかったので、どんな人たちなのだろう、どんなことを一緒にやってくれるのだろう、というところからのスタートでした。

依頼を決めた理由の一つは、InstagramなどのSNS発信にも強みがあると感じたことです。お任せしようと決めました。

「餅は餅屋」。SNS運用を通じて実感した、プロと取り組む価値

──実際にSNS運用を始めてみて、いかがですか。

中野渡さん:

やはり「餅は餅屋」だなと感じています。

私たちは豚を生産するプロですが、その魅力を外に広めていくことについては、やはりプロと一緒に取り組んだ方が、いいものがつくれる。

最初に想定していたことが、実際に取り組むなかで確信に変わったような感覚があります。


──SNSでの発信に加えて、メディア取材やイベントなども一緒に取り組んできました。特に印象に残っているものはありますか。

中野渡さん:

最近の取り組みでは、食育プロジェクト「命を学ぼう!もぐもぐ探検隊」がすごくいい企画だと思いました。

もともと食育には取り組みたいと考えていたのですが、具体的にどうすれば実現できるのか、どんな形にすれば子どもたちに伝わるのかまでは、自分たちだけではなかなか考えられませんでした。

そこをMICHIYUQさんが、私たちの思いをくみ取りながら、具体的な企画にしてくれたんです。自分たちだけでは思いつかなかったアイデアや工夫も提案してもらい、こういう形で実現できるんだと感じました。10年後、20年後のことを考えても、絶対に必要になってくる取り組みだと思っています。

「もぐもぐ探検隊」は、全国の子どもたちにオンラインで養豚場の様子を届ける食育プロジェクトです。

私たちの養豚場は、豚たちの健康や衛生管理の観点から、一般の方に自由に見学していただくことが難しい場所です。でも、普段食べている豚肉がどこから来るのか、どんな人がどんな仕事をしているのかを、子どもたちに知ってほしいという思いがありました。

そこでMICHIYUQさんから提案いただいたのが、動画を活用して養豚場の様子を伝える方法でした。

当日は、事前に撮影した養豚場の映像を見てもらいながら、子豚のお世話やエサやり、衛生管理などについて、私たち生産者がリアルタイムで解説しました。

さらに、子どもたちが楽しみながら学べるように、クイズを取り入れたり、自由研究にも活用できるワークシートを用意したりと、さまざまな工夫をしていただきました。一般社団法人青森県畜産協会にもご協力いただき、養豚について理解を深めてもらう機会になったと思います。



実際にやってみて、本当にやってよかったと思える授業になりました。普段はなかなか見てもらえない現場を、全国の子どもたちに知ってもらう機会をつくれたことは、とてもよかったと感じています。



──イベントを実施して、印象に残っている反応はありましたか。

中野渡さん:

参加したご家族から感想をいただいたのですが、イベントのあとに、家庭でも食べものや命について話をしてくださったことが印象に残っています。

例えば、「夕食は豚汁を食べましたので、命をいただくことを再度話をしてあげました」という感想がありました。

イベントの中で養豚場のことを知ってもらうだけでなく、その日の夕食の時間にも、学んだことがつながっていたんです。

食べものがどこから来るのか、その向こう側にどんな人たちがいるのか。そうしたことを知ってもらう機会をつくれたことに、大きな意味を感じています。

こうした取り組みを通じて、養豚の仕事や食べものについて考えてもらうきっかけをつくれることも、広報の可能性の一つだと思います。

顔を出すことへの抵抗も。発信を通じて変わった意識

──SNSやメディアでの発信を始めることに、最初は抵抗もありましたか。

中野渡さん:

ありましたね。どんな反響があるのか、何を言われるのか、どのくらいの人に知られるのか。そういう不安はありました。

家族からも「ちょっと出過ぎじゃない?」と言われることがあります(笑)。

以前は撮影を嫌がっていたのに、今では自分から出ようとするようになった人もいて、「話が違うぞ」と思うこともありますね。

ただ、最近はこういう発信も必要なのだと感じるようになりました。

生産者の顔が見えることは、お肉を販売するうえでも、消費者との距離を縮めることにつながると思っています。



──メディアに取り上げられた際にも、反響があったそうですね。

中野渡さん:

Yahoo!の記事に掲載されたときは、いろいろな方に見てもらえたようで、反響が聞こえてきました。

もちろん、記事がどのように受け取られるのかという不安もありましたが、知ってもらうきっかけの一つになったのは、よかったと思っています。


──広報活動を続けるなかで、ご自身の意識にも変化はありましたか。

中野渡さん:

会社のことを知ってもらう機会が増えたというのが、一番大きいですね。

SNSでの発信やイベントなどもあって、1〜2年前と比べると、認知度や、自社の取り組みを理解してくれる人が増えたと感じています。

広報に対する考え方も変わりました。

これまでは自社のことを知ってもらうという意識が強かったのですが、今は青森県の養豚業界や、日本の養豚業界、さらには一次産業全体のことも考えるようになりました。

こうした産業のことを知ってもらう機会は、誰かがつくっていかなければいけない。そんな思いが生まれています。

採用に関する発信から、新たな問い合わせも

──認知が広がってきたことを、実際の反応から感じる場面はありますか。

中野渡さん:

採用に関する取り組みを発信するようになってから、問い合わせが来るようになりました。自社のことを知って、興味を持ってくれる人が増えていると感じます。

一方で、興味を持ってくれた方の期待に応えていかなければいけないという、身の引き締まる思いもあります。

「自社だけでなく、業界全体のために」。広報を通じて目指す未来

──今後、広報を通じて実現したいことはありますか。

中野渡さん:

まずは、青森県の養豚協会を通じて何かできたらいいなと考えています。

その次には、青森県としての取り組みにまで広げていけたらと思っています。ほかの県にはないような取り組みをつくれるのではないかと考えています。

自分一人で発信することも大事ですが、これからは周りを巻き込みながら、発信の輪を広げていきたいですね。


──自社だけでなく、業界全体へと視野が広がっているのですね。

中野渡さん:

そうですね。養豚業界や一次産業のことを知ってもらう機会を、もっとつくっていきたいです。

そのためにも、同じような思いを持つ人たちと出会い、一緒につくっていくことが大事だと思っています。

経営者によって考え方はそれぞれですし、自分の考えに合ったパートナーと取り組めばいいと思います。

ただ、目指す方向が同じ人たちと一緒に取り組むことは、すごく大事だと感じています。

「親身になって一緒に取り組んでくれる」。MICHIYUQと歩む理由

──最後に、MICHIYUQと一緒に取り組むなかで、感じている価値を教えてください。

中野渡さん:

一番は、丸山さんをはじめ、皆さんの人柄だと思っています。

最初、私が持っていた広報の人のイメージは、少し近寄りがたくて、「これをやりなさい」と指示されるようなものでした。文章でも、形式的な言葉でやり取りするイメージがありました。

でも、実際にはすごく親身になって、一緒に取り組んでくれています。こちらが話しやすい環境をつくってくれるので、やりやすいですし、いいパートナーに巡り合えたと思っています。


──広報支援は、施策を実行するだけではなく、一緒に考えながら進めていくことも大切ですよね。

中野渡さん:
そうですね。
どうせ一緒に取り組むのであれば、きちんと最後まで付き合いたいという思いがあります。
もちろん、別の会社同士なので、感じることがいろいろあるのは当然です。それも含めて、お互いに自分の考えや思いをきちんと伝え合い、同じ方向を向いて進んでいけるかどうかが大事だと思っています。自分の思いを伝えて、それに共感してもらえたら、一緒に取り組む力も強くなる。そうやって目標に向かって進んでいきたいです。

──これからもよろしくお願いします!本日はありがとうございました。


担当丸山から一言


みのる養豚様とは、SNSでの発信をはじめ、メディア取材やイベント、食育企画など、さまざまな取り組みをご一緒させていただいています。

今回、特に印象に残っているのは、中野渡さんが自社の認知向上だけでなく、青森県の養豚業界や日本の一次産業全体の未来まで考えていらっしゃることです。

「もぐもぐ探検隊」も、もともと中野渡さんが考えていた食育への思いを、具体的な企画として形にした取り組みの一つです。

普段は一般公開していない養豚場の様子を子どもたちに届け、食べものの向こう側にある命や生産者の思いを伝える。今回の取り組みを通じて、広報には情報を発信するだけでなく、これまで接点のなかった人たちに新しい体験や学びの機会を届ける役割もあると、改めて感じました。

広報は、単に企業の認知度を高めるためだけのものではありません。企業が大切にしている思いを伝え、共感する人たちとのつながりをつくり、新たな取り組みへと広げていくこともできます。

みのる養豚様との取り組みを通じて、広報が自社の認知向上にとどまらず、業界全体の魅力を伝えるきっかけにもなることを実感しています。

これからも、中野渡さんと同じ方向を向きながら、より多くの人に養豚の魅力を知ってもらえるよう、一緒に取り組んでいきたいと思います。

中野渡さん、いつもありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします!

この記事を書いた人

株式会社MICHIYUQ代表の丸山です。
広報戦略の立案から実行までを一貫して担い、お客様の経営効率化とPR力の強化を同時に実現することがミッションです。ノウハウや経験・時間を要する広報業務を外部に委託することで、貴社のリソースを中核業務に集中させ、企業価値の向上に貢献いたします。このコラムでは、現場で培った広報の実践的な知見をお届けします。