〜となりの広報〜#4

こんにちは!MICHIYUQの丸山です。

MICHIYUQでは、
・気になるあの会社の広報活動を覗き見!「広報の現場〜となりの広報〜」
・気になるあのプロの視点を覗き見!「広報の現場〜プロの発想〜」
という2つの切り口で、経営者・広報担当者向けのウェビナーを毎月開催しています。

先日開催した、「となりの広報シリーズ」1回目のウェビナーでは、株式会社リブラン宣伝部課長の戸口さんをゲストにお招きし、50名超の方にご参加いただきました。

リブランといえば、主力事業「ミュージション」が大手新聞やテレビで多数取り上げられ、「7,000人待ちの賃貸マンション」として話題になった企業。本ウェビナーでは、サービスの認知度を高め事業の成長を後押しするために、どのような広報活動を行ってきたのかについて戸口さんにお話しいただきました。

この記事では、当日のウェビナーの見どころをレポート形式でお届けします!

「事業拡大につながる広報」とは?

今回のウェビナーの詳細に入る前に、少しだけウェビナー開催の意図をお伝えさせてください!

「気になるシリーズ」のウェビナーを企画した背景には、「事業拡大につながる広報活動のあり方」を経営者や広報担当者の皆さんとともに考え、実践に役立つ具体的なヒントとしてお届けしたいという想いがあります。

●      経営者の目線:「広報に力を入れたいけれど、実際にどのような人材や体制で進めるべきなのか?」

●      広報担当者の目線:「事業成果に貢献するためには、どのような着眼点でどのような活動を行うべきなのか?」

こうした現場のリアルな疑問や悩みに応えてくれるのが、ゲストとしてお迎えする「となりの広報」である事業会社の広報担当者や、外部プロの皆さんです。

第1回のゲストである戸口さんは、宣伝部に所属しながら、広告敵視点と広報的視点を両軸で持ちながら広報活動を推進することで、事業拡大に貢献しています。ウェビナー内でも、宣伝・広告と連動させた効果的な広報活動や効果的なメディア露出など、「事業拡大につながる広報」のヒントをたくさんシェアしてくださいました。

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<ゲスト>
株式会社リブラン宣伝部課長
戸口 木綿子氏(Xアカウント:@yukotoguchi
株式会社リブラン宣伝部課長。入社11年目。音大卒声楽家としても活動しながら、入居待ち約7,000人超えの人気防音賃貸マンション「MUSISION(ミュージション)」の仲介営業、宣伝広告マーケを経て、現在は広報PR専任。複業でスタートアップ企業の広報支援も行う。一児の母。

宣伝から広報への転換

ここからは、本編の内容をご紹介していきます。まずは、戸口さんのキャリアとともに、リブランにおける広報活動がどのように変化したかを伺いました。

もともと営業職としてリブランに入社し、産休・育休を経て宣伝部に異動した戸口さん。当初、宣伝活動は主にアナログ中心で、社内には「広報」という明確な役割もありませんでした。そこで戸口さんは、自ら事例記事を作成するなど自主的に広報活動を始めたそうです。

転換のきっかけはコロナでした。広告の効果が激減する一方、巣ごもり需要の増加によりサービスへのニーズは増加。この状況を受けて、戸口さんは「防音=リブラン」というイメージを確立するべく、不動産系メディアとのリレーションを強化や社内体制の構築に乗り出します。

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<戸口さんVOICE🗣>
営業時代にお客様からいただいた声が、広報活動をするうえでのヒントとなった。営業部と宣伝部での経験を融合することで、タイムロスのない広報活動が可能に。

<具体的なTIPS💡>
ひとり広報は、メディア担当者との関係構築をしにくいもの。始めの頃は、SNSを通じて広報コミュニティに積極的に参加し、他社の広報担当者からメディアを紹介してもらう流れをつくった。コミュニティでは、自社のニュースや特徴に絡めた自己紹介をすることで「〇〇の会社」として認知してもらえる!

話題づくりで成功するためのメディアアプローチ方法

リブランは、日経MJやWBSなどの大手メディアに多数取り上げられ、メディア連鎖を巧みに生み出しています。その理由は、「話題をつくるのが上手い」からです。

どんな企業でも、日々大きなニュースが生まれるわけではありません。単に情報を発信するだけでは注目されにくいため、自社の強み、社会のトレンド、業界の動きをうまく掛け合わせ、「ニュースになる切り口」を見つけることが重要です。

では、リブランはどのように話題を生み出し、メディアに取り上げられてきたのでしょうか?

今回は、リブランが実際に行った3つの事例をもとに、どんな視点でネタを考え、どのように戦略的に発信しているのかを紐解いていきます。

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ケース1.代表交代・創立55周年をストーリー化

2023年6月、リブランでは代表が交代。戸口さんは、このタイミングを広報のチャンスと捉え、メディアアプローチを仕掛けました。

ポイントとなったのは、

  1. 3代目にして初の「生え抜き」社長であること
  2. 一度他社へ転職し、再び戻って社長になったという経歴

この2点をストーリーとして打ち出した結果、「事業承継」をテーマに取材する記者の目に留まり、複数のメディアで取り上げられるきっかけに。さらに、800名が参加した創立55周年記念パーティの様子をプレスリリースで発信し、より一層注目が集まりました。

【リブラン55周年パーティーに800名が参加】株式会社リブランのプレスリリース(2023年6月12日 08時50分)【リブラン55周年パーティーに800名が参加】prtimes.jp

<戸口さんVOICE🗣>
メディアに取り上げられるには、「公共性・社会性・独自性」が必要。記者の方はメディアの発信を通じて世の中を動かしたいと考えているので、メディアにとって役立つ情報を提供する姿勢が大切。

<具体的なTIPS💡>
自社からメディアに提供できる情報がない場合は、他社を紹介。取材の際は、お礼の手紙を送るなど日頃から丁寧なコミュニケーションを心がける。

ケース2.東京ゲームショウの仕掛けでメディアの注目を獲得

2024年、リブランはゲーマー向け防音マンション「ゲーミングマンション」を発表。これを効果的に広めるため、東京ゲームショウへの出展を決定しました。

特に話題になったのが、「大声チャレンジ」という体験企画。来場者やレポーターが実際にブース内で大声を出し、その様子がメディアに「絵になる」と注目を集めました。

東京ゲームショウ2024で1,360名が叫んだ「ゲーミングマンション」10月27日(日)から一般入居受付を開始します株式会社リブランのプレスリリース(2024年10月25日 11時30分)東京ゲームショウ2024で1,360名が叫んだ「ゲprtimes.jp

<戸口さんVOICE🗣>
新商品の開発など、現場発信のアイデアをどう魅せて、認知を上げるかが広報の腕のみせどころ。広報側から開発チームへ「社会貢献度の高いプロダクトにする視点」を提供することも、より良い商品づくりにつながる。

ケース3.ウェイティングリストの公開で売上に貢献

リブランの防音賃貸マンション「ミュージション」は、元々ミュージシャンなどから高い支持を得ていました。そこで、入居希望者の数を示す「ウェイティングリスト」の公開に踏み切ります。

「入居待ち6,000人」というインパクトのある数字を公開したところ、多くのメディアで話題に。マンションの機能性に注目が高まり、建設を希望するオーナーからの問い合わせが急増し、売上アップにも直結しました。 

【騒音の心配に終止符を】入居待ち6,000人超の防音賃貸「ミュージション」が防音リフォームサービスを提供開始株式会社リブランのプレスリリース(2024年9月10日 08時50分)【騒音の心配に終止符を】入居待ち6,000人超の防音prtimes.jp

<具体的なTIPS💡>
マーケティング部などと連携し、社内データを活用した情報発信を行うのも有効。

広報活動が企業をどのように活性化させるのか

本編最後のセッションでは、これまでのお話も踏まえながら「広報活動が企業に及ぼす影響」について考えます。戸口さんは、適切な広報活動はインナーブランディングの強化や事業の成長にもつながると語ります。

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リブランの場合、特にメディア露出の影響が大きかったとのこと。社内では「自分たちの取り組みがニュースで取り上げられている」 「社会的に価値のある事業に携わっているんだ!」といった声が広がり、社員のモチベーション向上につながったそうです。

また、対外的な影響としては、 銀行で融資を受ける際の信用力アップや新規顧客の拡大といった点でも、広報活動の力を実感したと言います。

質疑応答


本編終了後は、参加者からの戸口さんへの質問タイムに。広報担当者の方が気になるであろう質問をいくつかご紹介させていただきます!

Q. 定量的な結果を求める経営層に、広報活動の重要性を理解してもらうのが難しいです。KPIはどのように設定していますか?
A. まず、経営層と「広報活動は短期的に成果が出るものではない」という共通認識を持つことが大切です。広報の役割は、長期的な視点で「認知度 × 信頼度」を最大化することにあります。特に「信頼度の獲得」は広告や宣伝では得にくいため、その価値をしっかり伝えましょう。

Q.社内で広報を担当しています。後輩を育成する方法について教えてください。
A.メディア担当者との場に連れて行くのはどうでしょうか。後輩に企画を立案してもらい、メディア担当者の反応を実際に見てもらうことで、企画の良し悪しが体感できると思います。クリッピングした記事を社内でシェアするのも1つ。企画視点を養い、「刺さる企画」を言語化してもらうのが狙いです。

さいごに

1時間があっという間に過ぎた今回のウェビナー。参加者からは
大満足のお声をいただきました!(一部ご紹介)

・社内や業界メディアからの情報収集、社会の状況のインプットと一方的ではないコミュニケーションの掛け合わせはtoB,toC問わずやはり広報パーソンが本質的な活動をするにあたって大事な要素大事だと痛感しました!お手紙は本当にすごいです・・!
よく言われるノウハウではあるものの、戸口さんのリアルな実践も併せてお聞きできたのでイメージも湧いて説得力もありました!

・戸口さんの話される内容が、「ここまで聞かせてもらえるの!?」というもので、広報として必要とされる以上の「プラスワン」の動きに目から鱗でした。数多ある広報というお仕事の中において、左から右へ、だけでは差別化には繋がらないのだと、感心の一方、甘い気持ちでは厳しい世界だと痛感しました。

・一般論だけでなく、具体的な事例を挙げてストーリー作りの核となった考え方、マインドセットまで伺うことができ、とても勉強になりました。
ありがとうございました。

・とっても濃い1時間でした!色々共有したい感想はあるのですが…特に、
∟リブラン55周年パーティに800名参加した時の写真
∟7000人待ちの状態になった際に土地のオーナーさんから防音住宅を建てて貸したいという問い合わせも殺到した
というお話に驚きました!
自分の広報活動にも活かせそうな点もたくさん見つけられたので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

Xでも嬉しいコメントが👀 (一部ご紹介)


メディアに取り上げられる仕掛けをつくることで、ブランドの認知度や売上向上につながる一方、実現には地道な努力と積み重ねが欠かせないことを改めて実感しました。

その背景には、サービスへの深い理解に加え、マーケティングデータの活用など、これまでの経験を活かしながら広報活動に取り組む戸口さんの姿勢があったと感じます。また、メディア担当者の視点を意識した情報提供の重要性や、広報担当者同士のつながりの大切さも、広報に携わる方々にとって参考になるポイントではないでしょうか。

***

「気になるシリーズ」では、今後も経営者や広報担当者向けに、実践的ですぐに役立つ具体的なTIPSをお届けするセミナーを開催します。

次回は、3月6日(木)15:00~16:00に、関西圏・東北圏・中部圏で活躍する3名の広報支援のプロをゲストに招き、地方特有の広報活動の現状や、地域の特性を活かした成功事例を詳しく解説します。

「自社に合った広報施策を知りたい」「地方発でも成果を上げるための戦略を学びたい」という方は、ぜひこのセミナーでプロの視点を学び、ご自身の企業に最適な広報戦略を見つけてください!

お申し込みはこちらから↓
https://www.info.michiyuq.co.jp/form/250306seminar[1] 

最後に、とっても貴重な広報活動のTIPSを惜しげもなくお話しいただいた戸口さんありがとうございました!

この記事を書いた人

株式会社MICHIYUQ代表の丸山です。
広報戦略の立案から実行までを一貫して担い、お客様の経営効率化とPR力の強化を同時に実現することがミッションです。ノウハウや経験・時間を要する広報業務を外部に委託することで、貴社のリソースを中核業務に集中させ、企業価値の向上に貢献いたします。このコラムでは、現場で培った広報の実践的な知見をお届けします。