広報活動の基盤づくりに!企業の「ブランドアイデンティティ」のつくり方

広報活動に一貫性を持たせるために欠かせない「ブランディング」。効果的なブランディングは、企業価値を高めステークホルダーとの強固な関係づくりにつながります。しかし、「ブランディング=難しそう」と感じ、なかなか取り組めない広報担当者も多いのではないでしょうか?今回は、複数の企業のブランディングを支援してきた丸山が、「ブランドアイデンティティ(BI)」の構築方法について解説します!

適切なブランディングは広報活動を円滑にする

「ブランディング」と聞くと難しく感じることがあります。そもそも、広報活動においてなぜ「ブランディング」が必要なのでしょうか?

 ブランディングとは、企業側の「こう思われたい」という意図と、顧客やステークホルダーの「こう思う」というイメージを一致させる取り組みです。
たとえば、自社商品の認知度を高めたいと考えた場合でも、発信するメッセージや世界観がズレていると、本来届けたい相手に伝わりにくいですよね。そのような事態を防ぐために、自社の特徴や個性を明確にし、統一したイメージで認識してもらうことが重要です。
そこで必要になるのが「ブランドアイデンティティ(以下、BI)」なんです!

なるほど。ステークホルダーと確実に関係を構築していき、両思いになる上でブランディングは欠かせないのですね。しかし、社員であっても自社のアイデンティティを明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか?

そうですね。答えられたとしても、異なる回答が出てくることも珍しくありません。そうなると、各自がバラバラのメッセージを発信し、結果的に企業のブランドイメージが損なわれる可能性があります。
ですから、まずは経営陣と広報担当者が主導し、「自社がどのように見られたいのか」をしっかりと言語化することが重要なんです。

広報が押さえておくべきブランドアイデンティティの要素とは?

自社のBIを構築する上で、考えるべき要素を教えてください。

 BIをつくるために必要となる要素は、大きく3つのカテゴリーに分類されます。
1.ブランド戦略
2.ブランドメッセージ戦略
3.ブランドイメージ戦略
そもそもブランディングは、「メッセージ(By word)」と「イメージ(By psychology)」の両方を駆使して伝えていくものです。

伝え方概要具体例メリット受け取り方
言葉で伝わる
(By word)
文章やキャッチコピーなど、言葉を使ってブランドの価値や理念を伝える方法企業理念、広告コピー、ホームページのメッセージ日本では言葉を重視する文化があり、論理的に伝わりやすい理解しやすく、内容を正確に把握できる
心理的印象で伝わる (By psychology)企業のブランドイメージを視覚や体験を通じて直感的に伝える方法ロゴデザイン、パッケージ、店舗の雰囲気、接客の態度言葉を介さずに印象や感覚で伝わるため、共感が生まれやすい直感的に理解し、ブランドの世界観

まずは、企業経営(ブランド運営)の基盤となる「ブランド戦略」をしっかり固めたうえで、ブランドメッセージ戦略とブランドイメージ戦略を考えていきます。

以下の図のように、ブランドアイデンティティを構成する要素は30近くありますが、ここでは特に広報活動を円滑に進めるために役立つ要素をいくつかご紹介します。ぜひ、自社のケースに置き換えてそれぞれの要素を考えてみてください。

1.ブランド定義:一言で自社を表現する
Q.複数ある同業他社の中で、どういう存在でありたいですか?自社を一言で表現してみましょう。

2.USP(Unique Selling Proposition):自社の強み
Q.他社と差別化できる要素はありますか?3つほど言葉にしてみましょう。

3.ファーストインプレッション
Q.数秒で会社のことをイメージされるとしたらどんな印象を持ってもらいたいですか?キーワードを8つ出してみましょう。

4.ブランドパーソナリティ
Q.会社を人格化するとどのような性格だと思われたいですか?有名人などに例えて、〇〇キャラと言語化してみましょう。

 BIを言語化しただけで、自社が大切にすべきイメージやなりたい姿の輪郭がはっきりしました。このイメージを軸にすれば、広報活動も迷いなく進められそうです!

 ブランドアイデンティティが社内で共有されていれば、各種SNSのトーンアンドマナーが違ったり、異なる発信内容でステークホルダーを混乱させることもありません。企業として、発信の一貫性が保たれるので信頼性も担保されますよね!

顧客の共感を生むブランドアイデンティティの構築事例をご紹介

丸山さんがBI構築において注目する企業はありますか?

118年続く製缶メーカー・側島製罐株式会社さんは良い例ですね。側島製罐さんは、事業承継を機にリブランディングに着手されています。

私たちの想い|側島製罐|愛知県にある明治創業の製缶メーカー

側島製罐株式会社のミッション・ビジョン
ミッション:世界にcanを 
ビジョン:宝物を託される人になろう

創業時から大切にしてきた「持ち主の大切な物を外部から守りたい」という想いを全面に打ち出したことで、缶メーカーから「大事な想いを預かる会社」という企業イメージの転換を図っています。新たに設定されたミッション・ビジョンは、まさにBIに基づいて生まれたものだと思いますし、ホームページやブログでの発信も一貫性があります。

確かに。企業としての人格がより強調されて、ステークホルダーも「この企業を応援したい」という気持ちが高まりそうです。

そうですね。さらに、側島製罐さんは「宝物を託される人になろう」というビジョンに基づき、”Sotto”という子供の想い出を入れる専用の缶を新製品として開発しています。会社の理念と商品に一貫性があるからこそ共感が生まれ、お客様の「ファン化」も進む

まさに、BIが会社のミッション・ビジョン・バリューやプロダクト開発において浸透している良い例だと思いますね。

ブランドアイデンティティを形にする過程にこそ意味がある

最後に、自社のBIを構築する際に押さえておくべきポイントがあれば教えてください。

「誰がつくるか」という視点は、とても重要です。BIは企業の軸となる要素だからこそ、経営陣の関与は欠かせません。ただし、トップダウンで決めてしまうと、社員にとって「自分ごと」として捉えにくくなってしまいます。
BIを形骸化させないためにも、現場の視点を持つメンバーを巻き込むことが大切です。例えば、広報担当がたたき台を作り、各部署と議論を重ねながら形にしていく方法も有効でしょう。
また、「最初から完璧を目指さない」こともポイントです。特に、商品やサービスの価値を端的に表現する「タグライン」を考える際、言葉の洗練度ばかりに気を取られがち。しかし、表現にこだわりすぎると、実際の姿とズレたBIになってしまうこともあります。
実績が少ない企業にとって、自社の強みを明確にするのは簡単ではありません。でも、議論を重ねることで新たな魅力に気づくこともあります。最初から完璧な形を求めるのではなく、まずは自由にアイデアを出し合いながら、自社の本質を見極めていく。このプロセスこそが、BIを強いものにしていくと思います。

広報担当者が中心となりつつ、さまざまな部署の意見を取り入れることで、多角的な視点から自社の本質を浮かび上がらせることができそうですね。

その通りです。BIの構築過程は、インナーブランディングを強化する絶好の機会でもあります。広報活動の基盤を整えたい、企業のブランディングを推進したいと考えている企業の方は、ぜひBIの構築に取り組んでみてください!

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