広報戦略はどうつくる?最初に取り組むべき3つのステップ

超実践広報シリーズ。最初の記事は、年初に悩みがちな「広報戦略」です。広報戦略がなぜ必要なのか、どのように立てるのか具体的に解説していきます。それでは、さっそく始めましょう!

広報戦略はなぜ必要?

広報戦略が重要性だと聞きますが、「なぜ必要なのか?」を改めて考えたことはありませんでした。そもそも広報戦略とは何なのでしょうか?

広報戦略とは、企業の理念や価値観にもとづいて、一貫したメッセージを社内外に伝えるための方針と計画を指します。そして、戦略に統一性を持たせるために欠かせないのが「目的」「目標(Goal)」「見られたい姿」を明確にすることです。

わかりやすく、山登りにたとえて説明しますね。

  • 目的:健康維持なのか、自己への挑戦なのか
  • 目標(Goal):高尾山を目指すのか、エベレストなのか
  • 計画:誰と、いつまでに、どのコースで登るか

戦略のない広報活動は、地図を持たずに登山するようなものです。統一感のない発信は企業のブランドイメージ構築の妨げになりますし、メディア露出が増えても意図した文脈で取りあげられなければ、かえってマイナスの影響を与えることもあります。

結果的に会社の中長期的な成長につながらず、広報担当者自身も「施策ばかりに追われて、思うような成果が出ない」という状況に陥ってしまいます。

なるほど。広報担当者が効果的に活動し、社内で正しく評価されるためにも、経営方針や会社の目標と整合性のある戦略づくりが欠かせないということですね。

超シンプル!広報戦略づくりに必要な3つのステップとは?

広報戦略の重要性は分かりましたが、実際につくるには高度な技術や経験が必要ではないでしょうか?

心配いりません。広報経験の浅い方でも取り組みやすいよう「基本的な考え」をお伝えします。1.出発点の把握、2.地図の作成、3.羅針盤の設定の3つのステップで一貫性のある戦略が完成します。それぞれ詳しく見ていきましょう!

1.出発点の把握(現状と理想のギャップを見つける)

まず取り組むべきは、企業の「現状(As is)」と「目指す姿(To be)」を正確に把握し、その差(ギャップ)から広報が解決すべき課題を見つけることです。これには、マーケティングなどでも用いられる「As-Is/To-Be」のフレームワークが有効です。

突然ですが、社内で採用課題が浮上した場合、どんな広報施策を考えますか?

求人広告を増やす、といった方法でしょうか。

それも一つの手段ですね。しかし、現状を詳しく分析してみると、「応募数は一定数あるものの離職率が高い」「内定承諾率が低い」といった課題が浮かび上がることがあります。こうした状況で「○名の採用」という目標を立てた場合、必要な施策は変わってくると思いませんか?

たしかに。より効果的な施策として「企業カルチャーの発信でミスマッチ採用を減らす」「インナーブランディングを進める」などが考えられます!

その通りです。正確な現状分析ができていなければ、本当に効果的な施策を打つことはできません。だからこそ、自分たちの現在地(As-Is)と目指す姿(To-Be)を明確にし、それを経営陣と共有することが最初のステップとして不可欠なのです。

2.地図の作成(バリュープロポジションの明確化)

現状と目指す姿が把握できたら、自社の「バリュープロポジション」を明確にしていきます。

「バリュープロポジション」とは具体的にどういう意味でしょうか?

バリュープロポジションとは、企業や関係者(ステークホルダー)に提供する価値や利益のことです。競合他社と比べて、自社の製品やサービスがどのように優れているか、また独自の価値をどのように提供しているのかを言語化していきます。

競合他社と比較する際には、「3C分析(Company: 自社、Customers: 顧客、Competitors: 競合)」をフレームワークとして用いるのがおすすめです。

3C分析をする上で特に注意すべき点は、「自社と市場ニーズが交わるポイント」に注目すること。自社が発信したい内容だけを伝えても、独りよがりな広報になってしまいます。広報担当者として、市場や世の中の視点も取り入れながら自社の強みを明確にしていくことを忘れないようにしましょう。

3.羅針盤の設定(キーコンセプトの策定)

自社と競合他社の分析をもとに課題を洗い出し、その差(ギャップ)を捉えられれば、広報戦略の大部分は完成したも同然です。最後に、広報施策を円滑に進めるための「キーコンセプトの策定」を行います。

キーコンセプトが広報活動における「迷ったときの羅針盤」になるということですね。

その通りです。たとえば、スターバックスの場合、「家庭や職場に次ぐ快適な空間を提供する」という考えから「第3の居場所(サードプレイス)」というコンセプトを掲げています。このコンセプトは、商品開発や接客、お店のデザインなど、すべての企業活動における「指針」として機能しています。

広報活動でも、外部向けの情報発信に一貫性を持たせたり、社内文化を形成したりする際の「軸」としてコンセプトは大いに役立つでしょう。

広報戦略が固まったら、次は実行フェーズへ!

3つのステップを踏んで広報戦略が完成したら、次は具体的な施策を考え、実行に移すだけです。

冒頭で触れた採用広報の例であれば「求職者の共感を得るためにSNS発信を強化する」「社内報を作成して組織内のコミュニケーションを活性化させる」といったように、やるべき施策が自然と見えてくるでしょう。

戦略によって、目的地と進むべき道筋が明確になるので、迷わずに施策を打てるということですね!

そうですね。目指す山頂が決まれば、あとは何年かけて、どのルートで登るかを決めればいいだけです。一見遠回りに見えるルートでも、目的地が明確ならマイルストーンマイルストーンの見直しにかかる手間が省けますし、何より誤った広報施策に時間を費やして疲弊することも防げます。

年始は、広報戦略を作成する良いチャンスです。もし自社に明確な戦略がまだないという方は、ぜひこの機会に戦略づくりに挑戦してみてください!

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